齢20を過ぎて初めて日常的に本を読むようになった読書の初心者の、気ままな読書履歴です。ミステリ中心。
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2008.10.14 Tue
Story Seller
前々回前回と図らずも伊坂幸太郎氏の短編が収録されているアンソロジーの感想が続いていたので、今回もその流れに沿って。
といっても今回感想を書く本(というか雑誌)を買ったのは伊坂氏の短編ではなく米澤穂信氏の短編が目当てで、そもそも短編というよりは中編なんですけどね。


Story Seller (ストーリーセラー) 2008年 05月号 [雑誌]Story Seller (ストーリーセラー) 2008年 05月号 [雑誌]

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伊坂幸太郎や米澤穂信、本多孝好といった総勢七人の作家によるアンソロジー。
アンソロジーと言っても先ほど述べたように短編ではなく、「読み応えは長編並、読みやすさは短編並」という中編を集めたものです。
更に先ほど述べたように米澤穂信氏の短編(もとい中編)を目当てに買ったものの、収録作品をコツコツ読んでいる間に米澤氏のホームページでこのStory Sellerに収録されている「玉野五十鈴の誉れ」を含むバベルの会シリーズの短編集がこの11月に出るというのを目にして少なからずショックを受けたといういわくつき(?)の代物。
でも、じゃあ買ったことを後悔しているかと言うと全くそんなことはないんですよね。
ホント面白いお話を売ってくれてありがとうって感じです。

読みたかった米澤氏の中編は祖母が絶対的な権力を握る旧家の話で何とも言えない余韻が残り、伊坂氏の中編はラッシュライフのような多視点で展開される話で別の視点から見ると印象が変わって見えるんだというズレが面白い。
道尾氏の作品はカラスの親指のように騙されて嬉しいと感じる幸せな読後感。
これを読んだ時点では未体験だった他の作家の中編も、どれも違った味があって面白かったです。
近藤史恵氏の「プロトンの中の孤独」は今年の本屋大賞の二位に輝いた「サクリファイス」の外伝ということですが、本編を読んでいなくても十分面白かったですしね。
しかし、何といっても素晴らしいのは有川浩氏の「ストーリー・セラー 」ですよ。
もうね、ホントこれを読めただけで買った甲斐があった
あーなるほど恋人が不治の病に冒されてるんすか大変すねーみたいな感じで読んでたはずが、気が付いたら涙が止まらなくなっているんですもん。
押し寄せてくる言葉の洪水に、涙腺という堤防があっさりと決壊して、涙が洪水のように出てくる。
疲れて体がどっしり重く感じるほど本気で泣いたのは、いつ以来だろう?
ああ恋愛小説って良いもんだなぁって、素直に思いましたよ。
前回感想を書いたI LOVE YOUを読んだのも、伊坂氏の短編を読みたかったからっていうのはもちろんありましたが、実はその前にこのストーリー・セラー を読んだことがあったっていうのが一番大きかったですからね。
恋愛小説があまり好きでないという人にこそ読んでもらいたい、価値観を変えかねない傑作です。

そんなわけで、思わぬ掘り出し物もあって非常に楽しめたこの本、もとい雑誌。
雑誌という形態のため今現在は非常に入手しずらくなっているというのが残念でなりません。
ホント多くの人に読んでもらいたいんですけどねぇ。
まぁでもそのうち収録作は各作家さんの短編集に収められることになるかと思うんで、今回読めなきゃ一生読めないってことにはならないと思います。
でももし入手する機会があるならば、一人の担当者の熱意によって生まれたというこの雑誌を是非手にとって欲しいですね。
私の場合は有川浩氏でしたが、人によってそれぞれ別の作家さんと、素晴らしい出会い方をすることができると思いますから。
(*2009/4/25追記:文庫版が2009/1/28に発売され、手軽に入手可能となりました。*)

最後にこの雑誌を担当した編集者の方へ。
是非とも第二弾、第三弾とこの企画を続けていって下さい。
いやね、大変だとは思うんです。
あまり読書歴のない私でも全員名前を耳にしたことがあるような人気作家を集めるというのは。
だから、可能なら。あくまでも可能なら、また面白いお話を売ってください。
そして可能ならば、あくまでも可能ならばーこの感想のオチも売って下さい。


収録作品
伊坂幸太郎「首折り男の周辺」・近藤史恵「プロトンの中の孤独」・有川浩「ストーリー・セラー 」・米澤穂信「玉野五十鈴の誉れ」・佐藤友哉「333のテッペン 」・道尾秀介「光の箱」・本多孝好「ここじゃない場所」

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌
yanbal1915 at 05:53    アンソロジー    Comment(0)   TrackBack(0)   Top↑

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