当ブログでは九月の半ばあたりからひたすら米澤作品の感想を書いてきたわけですが、それも今回で終わりです。
これで既刊全作品制覇ですからね。
まぁ、まだ短編や特集など書くべきネタはあるんですけどもーもう、ゴールしてもいよね?
古典部シリーズの第四作目。
これまでのシリーズの表紙がどれも学校の中の風景だったのに対して、今回は学校の外の風景です。
そこから想像がつくように、今回の舞台は学外。
主人公の奉太郎が高校に入学し約一ヵ月が経過した四月末から、 新年度を目前に控えた翌年の春休みまでー古典部の高一時代を描いた短編集です。
表題作の遠まわりする雛以外の短編は野生時代などに掲載されていたものですが、雑誌掲載時とは違って時系列に並べられたことで主人公の心情が時間とともに徐々に変わっていくことが見て取れるようになっています。
各短編はどれもミステリとしては小粒な印象ですが、キャラの内面が非常に良く描かれているため全体としては非常に満足できる出来です。
「正体見たり」や「手作りチョコレート事件」では結末の苦さも味わうことが出来ますしね。
特に「手作りチョコレート事件」はこれまで謎だった里志が伊原の求愛を拒む理由が明らかにされるという、ファンには嬉しい一編です。
しかし何といってもファンにとって一番嬉しいのは、書き下ろしの「遠まわりする雛」でしょう。
これを読むためだけにこの本を買うだけの価値はあるし、また、これを読まずに次回作を読むことはできない。
それだけ古典部シリーズにおいて重要な意味を持つ短編です。
しかし意図的にこういう要素を排してきたと思っていただけに、今回こんな踏み込んだ記述をしたことでシリーズの今後の展開が気になると同時に心配になります。
というかもう、古典部シリーズに関しては苦い結末を迎えたら耐えられないかもしれない。
作品として凡作になることになっても、主人公たちには幸せになって欲しいですもん。
昔
愚者のエンドロールを読んだ時にウザいとしか感じなかった主人公にここまで肩入れすることになるとは、自分でも意外ですけども。
そんなわけで、今後古典部シリーズが起承転結の「転」へと移行していくことを強く感じさせるこの作品。
果たして次回作ではどのような物語が展開されるのかー
わたし、気になります!