齢20を過ぎて初めて日常的に本を読むようになった読書の初心者の、気ままな読書履歴です。ミステリ中心。
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yanbal1915

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2008.11.30 Sun
告白
前回感想を書いた本が爽やかさとは対極にあるものだったので、今回は打って変わって爽やかな感じがするタイトルの本を。
告白。ああ、なんて爽やかな響きでしょう。
ー爽やかなのはタイトルだけですけども。


告白告白
湊 かなえ

双葉社 2008-08-05
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「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞した著者のデビュー作。
今年の9月ぐらいから色んなブログで感想を目にするようになって、辛抱たまらずハードカバーにも関わらず買ってしまった本です。
その購入理由が「ボトルネックと同じ匂いがしたから」っていうところから、この本が少年少女のひと夏の恋愛模様を描いた甘ーい話ではないということが分かってもらえるんじゃないかと思います。

受賞作の「聖職者」を1章に据えて全六章からなる長編に仕立て上げた本作。
章毎に交代する語り手によって告白されるのは秘めた恋心ではなく、果てしなく暗い心の闇です。
ー「愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです
そう主張する女性教師の告白の暗黒っぷり、更にはその告白による波紋が、邪悪が、どんどん広がっていくのがたまらないです。
あ、もちろん「たまらない」というのはたまらなく嫌っていう意味じゃなくてたまらなく好きっていう意味ですからね。
といっても他人の不幸で飯が旨いっていうんじゃなくて、とことん読後感の悪い話に徹することで生まれる「凄味」、その味わいが格別なんです。

是非とも自分でこの凄味を味わってもらいたいんであまり多くは語りませんが、個人的にはボトルネックのような後味の悪い本を読みたいという特異な要求が満足されて、大いに堪能することができました。
ただ、多少告白し過ぎている気はするんですよね。
女教師やその女教師に愛娘を殺したとして「裁かれた」生徒が何故そんなことをしたのかということが全て明らかになってしまうので、そこには想像を挟む余地がない。
全てが明らかになることで生まれる凄味も確かにあるんと思うんですけども、個人的には動機や心情を曖昧にしておいた得体の知れなさから来る凄味を味わいたかったなぁと思います。
まぁ、これは完全に好みの問題なんですけども。

ー最後に告白を。
この感想のオチはないのではありません。管理人の怠慢に殺されたのです
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テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌
yanbal1915 at 23:42    湊かなえ    Comment(0)   TrackBack(0)   Top↑

2008.11.25 Tue
儚い羊たちの祝宴
もうね、びっくりするぐらい更新できてないですね。
11月の頭に今月の更新目標を示したものの、全然実現できていないですし。
まぁこうして更新できていなかったのには理由があるんですが、それについては後々触れることにして、とっとと本の感想に移っていくとします。
今回感想を書くのはこちら。


儚い羊たちの祝宴儚い羊たちの祝宴
米澤 穂信

新潮社 2008-11
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11/21に出た米澤氏の新刊です。
私は基本的にハードカバーの本にはめったに手を出さないのですが、好きな作家の新刊となれば別です。
文庫になるのなんて待っていられないですし、そう頻繁に新刊が出るわけじゃないからあまり財布も傷まないですからね。
そんなわけで久しぶりにありついた米澤氏の新刊だったわけですが(もっとも米澤氏の作品にはまったのがここ最近のことなんで言うほど待ってはいないんですけど)、期待に違わず面白かったです
いや、こう書いたら語弊があるかな。
収録作のうち何本かは読んだことがあってそれに基づく期待値だったので期待には違わない、でも不満がないかというとそうでもない
ーそんな感じ。

収録作は順番に、奇怪な連続殺人事件の真相に驚愕させられる「身内に不幸がありまして」、屋敷に幽閉された男と妾の子としてその屋敷にやってきた女との心の交流を描…ゲフンゲフンな「北の館の罪人」、雪深い別荘の管理人の異様さが徐々に浮き彫りになっていく「山荘秘聞」、孤独な女と使用人との心の交流を描…描いた「玉野五十鈴の誉れ」、全編に共通して出てきたバベルの会なる集まりの内幕に踏み込み一つの物語として締めた「儚い羊たちの晩餐」の全五編です。
このうち書き下ろしは最後の「儚い羊たちの晩餐」のみで、それ以外は小説新潮などに掲載されていたもの。
私自身はそのうち「本格ミステリ08 二〇〇八年本格短編ベスト・セレクション」に収録されていた「身内に不幸がありまして」と「Story Seller」に収録されていた「玉野五十鈴の誉れ」の二編については読んだことがありました。
その二編を読んで感じていた癖になるじめじめ感というか、旧家の持つ魔力に当てられてちょっぴりおかしくなってしまった人々の織りなす暗黒な物語が個人的に大いに気に入っていたので、他の収録作にもそんな暗黒さを期待していて本作を読んだんですよね。
そしてその点に関しては期待通りだったんです。
ボトルネックとはまた違ったダウナーな雰囲気が堪能できて個人的には大満足です。
ただ…ただですよ。
帯や米澤氏のホームページで殊更「本作は最後の一撃(フィニッシングストローク)に拘った」と強調されちゃうと、どうしても求める水準が高くなってしまうんですよ。
具体的な作品名を挙げちゃうと下手したらネタばれになってしまうかもしれないんで控えますが(これまで書いてきた感想では普通に作品名を挙げちゃってたりするような気がするけど気にしない)、最後の最後で信じていた世界がいとも脆く崩れ去ってしまうような、自分が予想もしていなかった真相が最後の最後に明らかにされるような、そんな感覚を与えてくれるような作品がミステリの中でも特に好きなだけに、本作にもそんな「喪失感」を味あわせてくれることを求めてしまうんですよね。
で、じゃあ実際どうなんだ、喪失感を味あわせてくれるのかっていったらーどうにも釈然としないんですよね。
確かに最後の最後でドキッとさせられることはあるんです。
でもそれは予想の範疇と言ったらアレですけど、フィニッシングストロークによって世界の見え方が百八十度変わるんではないんですよね。
ラスト数ページで既に明らかになっている真相を綺麗に締めるための、言わば「決め台詞としてのフィニッシングストローク」なんですよ。
それがどうにも求めていたものとは違うんで、もやもやした気持ちになっちゃうんですよね。
まぁそれは本作を手に取る前に収録作を二編読んで予想できたことで、フィニッシングストロークにはあまり期待はしていなくかったから期待には違わないんです、でも、やっぱり不満なんだよなぁ。
殊更にフィニッシングストロークがどうだと煽ってなければこんな不満を抱くこともなかったんですけどね。
フィニッシングストロークのことは伏せておいて、ダウナーな雰囲気を楽しんでいる読者に催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえもっとダウナーなものの片鱗を味わせる、そんな奇妙なアクセント程度の位置付けぐらいがちょうど良いんじゃないかと。

ま、なんだかんだで多少不満は感じるものの十分楽しんで読めたのは確かです。
一番楽しめたのが既に読んだことのあった「身内に不幸がありまして」だったっていうのはちょっと残念な気もしますけども。
まぁそれは「身内に不幸がありまして」の出来が良すぎるからなんですけどね。
フィニッシングストロークによって明らかにされるホワイダニットが堪りません。

ともかくダウナーな雰囲気を味わいたい、ボトルネックで知ってしまった得体のしれない面白さを求めて日々さまよっているーそんな儚い羊たちのために用意されたこの祝宴、参加しない手はありませんよ。



ーなんて感想を、あの子が元気だったら書くんでしょうね。
管理人の母
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テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌
yanbal1915 at 23:55    米澤穂信    Comment(4)   TrackBack(4)   Top↑

2008.11.10 Mon
そして誰かいなくなった
全然更新ができていなくてスミマセン;
ちょっとばかし時間を取られる事案を抱えていまして。
熾烈な競争を勝ち抜かなきゃならなくてなかなかブログの更新まで手が回らないんですよね。
いや何の話かって、カルドセプトですけども

てなわけでひたすらカルドセプトDSばっかりやっていて更新ができていないわけなんですけども、一応ね、更新しようと思ったことは何度もあるんですよ。
それなのに更新できずにいたのはカルドセプトDSが面白すぎるからってだけではなく、別の理由もあって。
関連のある本の感想を続けて書いていくっていうことに拘り過ぎているという。
例えば米澤穂信氏関係の本の感想を一本書いたらその後氏の作品の感想を続けて何本も書いたり、アンソロジーの感想を何本も続けたり、「涙繋がり」で感想を書いたり。
このブログで取り上げる本の間に何らかの繋がりがあったほうが一つの感想が持つ可能性が広がるかなぁと思ってここ最近そんな風にしているんですけど、これをやると困るのが書きたい時に感想を書けないってことなんですよね。
読み終えたばかりの本があっても今はこの著者の作品の感想を続けているからまた後にしようとかいう風になってきて、いざその本の感想を書くときには読み終えた時の感動だとか感想を書きたいっていう気持ちが弱まってしまっている。
更新頻度が高いうちはまだしも、低くなってくると読み終えてから感想を書くまでにどんどん時間が経っちゃいますからね。
さすがにこれはまずいだろうってことで、今後は全然繋がりとか関係なく書きたい時に書きたい本の感想を書いていくことにしようと思います。
なので、なんでいきなりこんな本の感想を書いたんだって感じるようなことが起こるかもしれませんが、その際は多分事前にこんな本を読んだんだろうなぁとか、想像を膨らませてみて下さい。
仮にもし今後いきなり携帯小説の感想を書いたら、「ああ、ガッシ! ボカッ!でアタシは死んだんだなぁ」と。


そして誰かいなくなった (講談社文庫)そして誰かいなくなった (講談社文庫)
夏樹 静子

講談社 1991-07
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前置きがやたらと長くなってしまいましたが本の感想に移っていきます。
前回のエントリとは何の繋がりもなく、読み終えたばかりのこの本を。

タイトルから想像が付く通り、アガサ・クリスティの名作『そして誰もいなくなった』をモチーフにした作品です。
豪華クルーザーに招待された客とクルーが海上で次々殺されていくという内容なんですが、クルーザーの名前がインディアナ号だったり、招待主が不明だったり、客達の罪を告発するテープが流されたり…本文中で何度も作品名に言及するほどあからさまに『そして誰もいなくなった』を意識した作りになっています。
『そして誰もいなくなった』を意識した作品としては真っ先に綾辻行人氏の『十角館の殺人』が思い浮かぶと思うんですが、十角館の殺人が1987年9月に発表されているのに対し、『そして誰かいなくなった』は1988年10月に発表されていて、こちらの方が後発です。
新本格ブームを巻き起こしたとされる十角館の殺人の後に発表されたということで、二匹目のドジョウを狙ってこんなあからさまなタイトルを付けたのかなぁと邪推してしまうんですが、実際のところはどうなんでしょう。
比較されてしまうことになってしまってデメリットの方が大きい気がするんですよね、個人的には十角館の殺人の方が圧倒的に楽しめただけに余計に。
まぁ十角館の殺人は私がミステリにはまったきっかけになった本ということでかなり思い出補正が掛かっていると思いますし、そして誰かいなくなったの方が断然面白いじゃんと感じる人も当然いると思うんですけども。
比較なんてせずに純粋に作品の面白さだけを見たら、この作品もかなり面白い部類に入ると思いますから。

名作のタイトルをほんの1文字変えただけということでインパクトは抜群ですが、このタイトルで話を展開するのってかなり難しいと思うんですよ。
実際終盤に差し掛かるまで「タイトルはあくまでタイトルに過ぎず内容とは関係ない」と開き直っているのかなぁと感じたぐらいで。
でも最後まで読むと、「なるほど看板に偽りはないわ」と思えるんですよね。
登場人物達がすごくありがちな人物造形で全然キャラクタに魅力が感じられないのにも意味があって、作品全体としての魅力を高めるのに貢献しているんだから恐れ入ります。
正直「小説」としては全く面白くないですが、「ミステリ」としては一級品なんではないかと思います。
私はミステリにも小説的面白さを求めてしまうので(だから米澤氏の作品なんかが大好きなんですが)、少々物足りなさを感じてしまうものの、トリックが素晴らしければオールオッケーっていう方だったら更に楽しめるんじゃないかなぁと思います。
なんにせよ、読んで損はない一冊だと思うんで、未読でしたら是非一度読んでみてくださいな。

ーえ?この感想のオチ?
「そしてオチもいわなくなった」 (キリッ

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌
yanbal1915 at 17:08    夏樹静子    Comment(0)   TrackBack(0)   Top↑

2008.11.01 Sat
2008/10月 読了本
10月に読み終えた本のリストを公開しておきます。
未だ8月に読み終えた本9月に読み終えた本も感想を完全に書き終えていないですけど、果たして全部の感想を書き終える日は来るのかなぁ。
8月よりも9月、9月よりも10月と読んだ本の数が減ってきているのに、更新回数も減ってきているから全然積感想が減っていかない…

10月は大量に購入してあるアンソロジーをどんどん読んでいくつもりだったんですけど、全然読むのが追いついていないです。
短編集は長編に比べて気楽に読める分、勢いに乗って一気に読み進めるってことがないんでなかなか読み終わらないんですよね。
他にも大量のコン・ゲーム系の本を読まずに積んでしまっているんで、今月はとにかく積み本を一つずつ消化していくのを目標にやっていきたいところです。
更新関連の目標としては、11/21に米澤穂信氏の新刊が発売されるので、それまでに短編や特集など米澤氏関連の本・雑誌で未だ感想を書いていないものを片付けるってのが第一ですね。
あと、できるだけ多く更新できるよう頑張る、頑張りたい、…頑張れれば良いな。

最後に、先月読んだ本の個人的ベスト3を。
1.秘密。―私と私のあいだの十二話
2.I LOVE YOU
3.告白
→続きを読む

テーマ:読んだ本 - ジャンル:本・雑誌
yanbal1915 at 03:28    先月の読了本    Comment(0)   TrackBack(0)   Top↑

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