齢20を過ぎて初めて日常的に本を読むようになった読書の初心者の、気ままな読書履歴です。ミステリ中心。
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yanbal1915

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2008.05.19 Mon
インシテミル
[ハードカバー] ブログ村キーワード

ハードカバー
人の所有欲を強烈に刺激するその書籍形態は、一方で購入を躊躇させもします。

ーハードカバーを買うそのお金で、文庫本数冊が買えてしまう。
ーかさばるので、持ち運んで移動中に気軽に読むってわけにもいかない。

そんなわけで私はハードカバーは滅多に買わないのですが、ごく稀に、すごく好きな作家の新刊だったり、内容が非常に面白そうだったりで、辛抱たまらず買ってしまうことがあります。
今回紹介するのも、辛抱たまらなかった本
いや、18禁じゃないですよ。念のため。

インシテミルインシテミル
米澤 穂信

文藝春秋 2007-08
売り上げランキング : 4091
おすすめ平均

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先ほど辛抱たまらなくなる要因として二つほど挙げましたが、この「インシテミル」の作者である米澤穂信さんの作品は愚者のエンドロールしか読んだことがなく、また、その作品の中二病全開な主人公にあまり感情移入できなかったので、すごく好きな作家の新刊だったというわけではありませんでした。
私を辛抱たまらなくさせたのは、その設定

時給1120の求人広告。
まったく他人同士のようでいて、かすかな繋がりを持った12人の参加者。
12人に与えられた、殺害方法の違う12の凶器。
人を殺せばボーナス。犯人を当てればボーナス。死ねばボーナス

オラ、ワクワクしてきたぞ!


ただ、いかんせんこの本はハードカバー
文庫二、三冊分楽しませろとは言いませんが、ハードルが高くなるのはいかんともしがたいところ。
正直そのハードルを越えられたかと言うと…

分かんないです。

冷静に考えると
 目新しいトリックがあるわけでも
 綺麗なロジックがあるわけでもなく、
 キャラにも人間味がない。
でも、不思議とすごく面白かったんですよね。

なんというか、パニックムービーを見た時のような。
深く考えず、ただ話の流れに身を任せる。
それが、何とも言えず心地良いんですよ。

そんなわけで自分の感じた楽しさを自分自身が理解できていないので、何ともお薦めしにくいわけですが。
ただ、面白いとはいえ、この設定に強烈に心を惹かれたというわけでなければ素直に文庫を待った方が良いかもしれません。
というのもこの本にはけっこうおかしな表現があったりしまして。
例えばP367にこんな表現があります。

Aが言う
「多数決だ。AがBとCを殺した。賛成なら、手を挙げてくれ」
(ネタばれ回避のため、人物名を適当なアルファベットに変えています)

分かりやすくジョジョ風に表現すると
   おれだったァーー 



  殺したのは おれだったァーーー

って感じです。
このシーン、文脈的にどう考えても探偵が犯人を指摘してるはずなんですけどね。
校正ちゃんと仕事しろって感じですが、そもそも作者がキャラ名を間違えるってどうなの?
話の流れに身を任せてただけでいくつかの間違いに気づいたんで、しっかり読み込んだらもっとあるかもしれません。
そういった間違いは文庫化されるときにまず間違いなく直されると思うんで、その時が買い時ではないかと思います。
ただ、もしも辛抱たまらないなら、君がッ 買うまで 薦めるのをやめないッ!
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テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学
yanbal1915 at 21:57    米澤穂信    Comment(5)   TrackBack(1)   Top↑

2008.05.18 Sun
双頭の悪魔
孤島パズルを読み終え次に読んだのは、もちろんこちら。

双頭の悪魔 (創元推理文庫)双頭の悪魔 (創元推理文庫)
有栖川 有栖

東京創元社 1999-04
売り上げランキング : 51096
おすすめ平均

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有栖川有栖の学生アリスシリーズ、その第三作目です。
面白い面白いという話だけは耳にしていたものの、長らく手を出さずにいたこの作品。
その経緯は前回書いたとおりです。
そんなわけで読み始めるに当たっての期待感は相当高いものがあり、それ故に感想として書きたいことも多々あるわけですが、いかんせん書きたいことをそのまま書こうとするとネタばれしてしまいかねない
なので以降の文章ではネタばれを避けるために妙に回りくどい言い方をしている所があります、ご了承下さい。

ーさて。
この作品ではアリス達英都大学推理研の一行は江神・マリア組とアリス・望月・織田組に否応なく分断されることとなります。
二組の間で満足な意思疎通が出来ない状態で二組ともが殺人事件に巻き込まれ、それぞれの組の代表としてマリアとアリスの二つの視点で物語が語られていきます。
二つの組が置かれている状況が全く違うので、それぞれが置かれている状況をフェアプレーに徹して読者に推理する材料を完全に与えながら述べようとすると、なるほど文庫が軽く引いちゃうぐらい厚くなるのもうなずけます。
でも読んでみるとそんな厚さなんて全く気にならないんですよね。むしろ、厚いことを感謝したくなる
それぐらい、ずっとこの話を堪能していたいと思えるぐらい、面白かったです。

派手なトリックがないのは、孤島パズルと同様。
あるのは、徹底的なロジック
事件の全容を掴むためには大胆な発想の転換をしないといけませんが、その発想の転換をしなければならないということまで理詰めで到達できるようになっているんだから、脱帽する他ありません。
なるほど、これは傑作だわ。

とはいえ。
完全に理詰めで真相に到達できるとはいえ、その難易度はすさまじく高いです。多分
果たして自力で真相を暴けるような人はいるのでしょうか?
途中挟まれる三回もの「読者への挑戦」、その全てに勝てた人は。
私は一回目、二回目の挑戦に対する答えを、犯人を、導き出して分かった気になっていました。
でも三回目の挑戦に勝って、犯人ーもとい、悪魔を、導き出せないことには、それは何一つ分かってないということと同じですからね。

完敗です。
気持ちいいほどの、完敗。
こんな素晴らしい作品に出会えた奇跡にー乾杯

うまいこと言ったつもり。

テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学
yanbal1915 at 22:26    有栖川有栖    Comment(0)   TrackBack(0)   Top↑

2008.05.14 Wed
孤島パズル
現在ミステリ熱が再燃しているので、しばらくミステリの感想が続きます。

今回紹介するのはこちら。

孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
有栖川 有栖

東京創元社 1996-08
売り上げランキング : 46348
おすすめ平均

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有栖川有栖の学生アリスシリーズ、その二作目です。
ミステリにはまりだした時に、学生アリスシリーズの三作目に当たる双頭の悪魔がすごく面白い、でもそれを本当に楽しむためには一作目から読まなきゃならない、という話を耳にして一作目の月光ゲーム―Yの悲劇’88 を読んでから早幾月
といっても前回の占星術殺人事件のように読み始めてから読み終えるまでに半年以上を費やしたわけではなく、費やしたのは購入するまでの月日です。
月光ゲームがすごく面白くなかったのではなく、すごく面白くはなかったので、何となく次を読もうって気にならないままずるずると。
次の作品が双頭の悪魔だったら多分すぐにでも読んでいたと思うんですけどね。
間にこの孤島パズルがあったため、モチベーションがあまり上がらなかった、と。

といっても、孤島パズルが面白くないかというとそんなことはありません
読み終えた今なら言えます。すごく…面白いです…

吹雪の山荘に代表されるクローズドサークルものの本作品。
この手の作品が大好きな私にとってはそれだけで評価が甘くなるというものです。
とはいえ舞台となる孤島にはボートがあり、その気になれば脱出できそうな気がするので、厳密にはクローズドサークルではないような気がします。
まぁ、最寄の島までモータークルーザーで三時間かかるらしいので、ボートではちょっときついかもしれませんが。
でも、顔見知りばかりが集まっているとはいえ島で殺人事件が起こって犯人は自分達の内の誰かだという状況で島から逃げ出そうという気を起こさないものでしょうか。
こ、こんなやつらと一緒にいられるか!俺は島を出るぜ!といったこれでもかというほどあからさまな死亡フラグを立てる奴がいても良かったのではと思います。
そんなちょっとした不満に別の死亡フラグを立てちゃったあの人に免じて目を瞑れば、この作品はまさにパズルのような理路整然とした良作となります。

これといった大掛かりなトリックは無いので、派手さは無い。
ですが、思いつかなかったらどうしようもないのではなく、物語中にばら撒かれた小さな手がかりを論理的に追っていけば真相にたどり着けるというのもまた、派手さとは別の楽しさがあると思うのです。
そう思うのは、私が理系であるのが関係あるのかもしれません。
論理的な思考を働かせて犯人を突き止めようと考えるのは、すごく楽しかったです。
まぁ、犯人を突き止められたかどうかは別にして

そんなわけで、私のような理系の人
更に言えば、私のような数学が苦手なのになぜか理系の道を選んだ人
この作品はそんな人が特に楽しめるんじゃないか、そう思う次第です。
そう思う論理的な根拠があるかどうかは別にして

テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学
yanbal1915 at 01:45    有栖川有栖    Comment(0)   TrackBack(0)   Top↑

2008.05.08 Thu
占星術殺人事件
モチベーションが高いうちにどんどん更新していきたいところです。
はたしてこれがいつまで保つか…

今回紹介するのはこちら。

占星術殺人事件 (講談社文庫)占星術殺人事件 (講談社文庫)
島田 荘司

講談社 1987-07
売り上げランキング : 81584
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ミステリー好きの方なら必ず知ってるような作品ですね。
てか、ミステリーが特に好きでない方でもあるいは耳にしたことがあるかもしれません。
私もミステリーを全然読んでない時に名前を聞いたことがあったような気がする可能性があります

当然そんな有名作品を未読のままでいるわけにもいかず。
十角館の殺人を読んで一気にミステリにはまった半年以上前には既にこの作品を購入していました。
なのに読み終わったのはついさっき
あ…ありのまま 今 起こった事を(ry 的なスタンド攻撃を受けていたわけではなく、ただ純粋に読むのが苦痛だったからです。

この作品はまず密室で殺された男の手記から始まるのですが、これがとにかく退屈でつまらない。30ページ強の分量しかないのにそれこそ永遠に終わらないのかと錯覚するほどです。
その後探偵とワトソン君役が、この40年以上前の未解決事件についてあれこれ講釈をたれるんですが、これもまた退屈なのです。
そして月日は流れた…

いや、舞台を京都に移す後半ぐらいからは面白くなってくるんですよ。
前半まで読むのに半年かかったのに後半は数日で読み終えましたから。
まぁ、最近長い家の殺人を読み終えてまたミステリーを読みたいって気持ちが高まっていたのもありますけども。
ただホントに前半がきつかったです、私には。
自分で事件の推理をするというタイプの方だと前半も楽しめるのかと思いますが、私はあまりそういうタイプではありませんし、何よりも事件そのものに興味が持てなかったので推理する気が…
事件の被害者と探偵たちに何の関係も無いというタイプの作品はどうも私にはあわないようです。
吹雪の山荘で次々と人が殺されていく、早く犯人を見つけないと自分が危ない!って状況の人が探偵役だとすごく燃えるんですけどね。

そんなわけであまり作品にのめりこむことが出来なかったんで、この作品のキモであるトリックが明かされたときもスゲーと思いはするものの、それは一瞬であまり後を引かず終わってしまいました。

マジで!?おまえが犯人なのかよ!?で、お前誰!?
というか。

そんなわけで私はこの作品からはそれこそ十角館の殺人のような強烈なインパクトは受けなかったわけですが、それでもトリックにはすごく鮮やかなものがあり、一読の価値はあると思います。
あと、あまり作品にのめりこめなかったと言いましたが、それでも犯人の家族に関する話には胸に来るものがありました。
そういう点からも、未読の方は是非ご一読を。

テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学
yanbal1915 at 23:38    島田荘司    Comment(0)   TrackBack(0)   Top↑

2008.05.06 Tue
長い家の殺人
びっくりするぐらい久しぶりの更新です。
最終更新日が1年以上前って…;
しかも本の感想も結局4回しか書いてないですし。
やっぱ本の感想は読み終わってすぐに書くようにしないと駄目ですね。どうしてもモチベーションが下がってしまいますから。
というわけで今後は淡々と、読後の興奮が冷めやらぬうちに感想を書いていきたいと思います。
今後がある保証は無いですけども

てなわけで今回紹介するのはこちら。

長い家の殺人 (講談社文庫 (う23-11))長い家の殺人 (講談社文庫 (う23-11))
歌野 晶午

講談社 2008-04-15
売り上げランキング : 122148

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ふらっと立ち寄った書店で見つけたこの本。
著者の歌野晶午さんの作品は日本推理作家協会賞を受賞した『葉桜の季節に君を想うということ』しか読んだことは無かったんですが、それがけっこう好きだったので、その作家のデビュー作を新装版として発売されたこの機会に読んでみよう、と。

そうして読み始めたこの本ですが、私がミステリー好きなのと読みやすい文章なのとが相まって、一息に読みきってしまいました。途中トリックに気付くことも無く
この本の感想を書くにあったって他の方の感想を読んでみると、多くの方が読んでる途中でトリックに気付いたみたいですね。
なるほど確かにタイトル部屋の名前からしてどういった類のトリックが使われるかは想像が付きそうですもんねぇ。
そうした途中でトリックに気付いちゃった方々からのこの作品への評価はあまり高くないみたいですが、私は幸運にもトリックに気付けなかったんで非常に楽しめました。
犯人当てや歌詞の暗号といった部分でも楽しめますけども、この作品はメインのトリックが全てという気がするんで、途中でトリックに気付けるか気付けないかで楽しめるか楽しめないかが決まる気がします。
そんなわけで、「ミステリーは好きでよく読むけどいつもトリック見破れないんだよねぇ~」といった幸運な鈍感さを持った方にはお薦めです。

テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学
yanbal1915 at 19:40    歌野晶午    Comment(2)   TrackBack(0)   Top↑

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